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劇場版「魔法少女まどか☆マギカ」シリーズ リバイバル上映&舞台挨拶公式レポート


 
2021年11月30日(火)、東京・新宿バルト9のスクリーン9にて、劇場版「魔法少女まどか☆マギカ」シリーズ リバイバル上映&舞台挨拶が実施されました。
 
舞台挨拶の出演者は鹿目まどか役の悠木碧さん、美樹さやか役の喜多村英梨さん、佐倉杏子役の野中藍さんの3名。司会の松澤千晶さんの呼び込みで、平日の夜の開催にもかかわらず満員の観客が駆けつけた会場に登壇します。
 
今年4月に開催された10周年記念イベントが惜しくも直前で無観客での開催になってしまったこともあり、出演者にとってもファンにとってもまさに待望のイベント。開幕の挨拶でも野中さんが、「コロナ禍だったのでこうやって人前に立つのが久しぶりで、ちょっと圧倒されているんですけど、とってもうれしいです」とコメントしていました。
 
そこからまずは和気あいあいと近況報告をして、少しずつ会場の空気を温めながら、今日の本題である『劇場版 魔法少女まどか マギカ[新編]叛逆の物語』の振り返りトークに入って行きます。
 
悠木さんは「テレビシリーズでやってきたことをこうして一回、『愛』で壊す、みたいなのがすごいと思ったし、当時は(続編がなく)ここまでだと思っていたから、『マジ!?』みたいなのがありました」「夢もいっぱい詰まっていて、でも、夢が怖くてしょうがない。そういう作りにされているのが、テレビシリーズから含めてちゃんと一個の作品にされている感じでめちゃくちゃいい。アートなんだ、これは……と、今思い返してあらためて感じています。当時は(まどかとして)生きるのが必死だったので……(笑)。10年経って心に余裕ができて振り返ってみたら、『新編』によってよりエモくなったストーリーと、それによるお客さんの反応って、本当にこの作品でしか見られないものだと思いました」と語ります。

その言葉を受けて喜多村さんは、魔法少女たちの変身バンク風シーンのカッコよさに触れつつ、「(悪魔になったほむらによって壊されてしまうものの)序盤の、私たちが本当は見たかった『まどか☆マギカ』みたいなものを見せてくれるところも含め、ビジュアル面から余すところなく、たくさんの刺激をくれる作品。おしゃれを超越した、本当にアートだった」と再見しての感想を述べ、野中さんも「唯一無二の個性は古さを感じさせないものなんですね。今見ても絶対に楽しめる」と言葉を重ねます。
 
続けて司会から「今見るとまた違う感覚があって、ほんの少しキュゥべえの気持ちがわかったりしませんか?」と水を向けられると、悠木さんは「当時からキュゥべえって、別に間違ったことをしていないところがムカつくと思っていました」「(逆に)大人になってまどか(の考え方)に寄れた気がした。この子の、純粋に根拠なく『みんなが幸福だったらいいのに』と思えるところの愛しさって、大人になった方がよく見えました」と返します。
 
収録当時は、まどかと年齢が近かった悠木さん。10年近く経った今は、年齢が離れています。作品の受け止め方の変化に、自身が大人になったこと……『まどか☆マギカ』のアフレコ現場で当時、先輩である共演者のみなさんがやっていたような、「役と自分を同化させるのではなく、第三者から見た部分で特徴を捉えていく」役作りができるようになった自分を、あらためて意識したそうです。
 
そんな悠木さんのトークを受けて、喜多村さん、野中さんも、『新編』でどのようなことを考えながら収録していたのかを振り返ります。喜多村さんがテレビシリーズとは異なる『新編』でのさやかの立ち位置を「円環のカバン持ち(笑)」と表現すると、野中さんも「(『新編』での杏子は)記憶消されすぎだなって(思った)(笑)」とコミカルに繋げ、笑いを誘いました。
 
そこからトークは、『新編』でのほむらの話題に展開していきました。悠木さんが「お友達を超えて彼女(=ほむら)の中で(まどかが)神様になっているのが、すごく純粋な愛情故にとても切ないなと思いました」「でも、どんどんほむらちゃんの気持ちがわかるようになる」と語ると、喜多村さんも「まどかのストレートな友情を愛情として汲み取りたい(ほむらとまどかの)掛け違いの様子が……愛から憎悪に変わっちゃうみたいな。わかる、すごい」とほむらの心情に寄り添います。
 
喜多村さんはそうしたほむらの心情がセリフではなく、ビジュアルで表現されていることに触れつつ、「いろんなことを考察したくなる、今でもそんなところがどんどん出てくる作品」とも『新編』を評していました。
 
終盤に登場するほむらの「愛よ」という重要なセリフの解釈についても、愛ではなくエゴなのか、まどかへの思いに迷い続けたほむらにとってのひとつのゴールなのかなど、出演者間でそれぞれに深い考察が繰り広げられましたが、そこから次第に話題はキュゥべえにスライドしていきます。喜多村さんが「(キュゥべえ役の加藤英美里さんは)芝居が難しかったんじゃないかな、難しい役どころだなと思っていた。(感情がない設定なのに)予測できないことを目の当たりにして、最後はボロッボロになる」と語り、野中さんが「今後ほむらに使われちゃうのかな」「心配になっちゃう」と優しさを見せると、悠木さんが「キュゥべえってこの作品における合理性の象徴」「それがボロボロにされて愛を語る人(=ほむら)の横にいるというのが、『なるほどね!』と。愛に合理性はいらないんですよ。そんな世界を彼女(=ほむら)が作ったのを、絵として訴えかけてくるものがある」とまとめます。
 
こうしてイベントも終盤に差し掛かったところで、新房昭之総監督からのメッセージが寄せられていることが明らかに。少々動揺した様子の登壇者たちを前に、司会がそれを代読します。
 
〈TV放送から10年、劇場版「前後編」上映から9年、「新編」からは8年が経ちました。事実としてはそうなのですが、不思議と時が経った実感はないです〉
 
という言葉に始まり、ハノカゲさんによるコミカライズ版にまつわる思い出や、ずっと応援してくださっているファンのみなさんへの感謝などを述べ、最後は
 
〈「まどか☆マギカ」は続きますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。〉
 
……と締め括る温かなメッセージに、壇上の面々の表情も自然と緩みます。そこからの写真撮影を経て、イベントは終わりに向かいました。
 
イベントの最後に、野中さんは「新房監督のメッセージにあったように、みんなそれぞれで活躍していても、こういう機会にすぐに仲間に戻れる。その感じが今までの歴史とか、絆とか、時間を一緒に過ごした濃さを感じられるなと思います。お客さんもそうです」「本当に『まどか☆マギカ』愛に溢れた……というと、ほむらちゃんみたいに重くなっちゃうかな(笑)。でも『まどか☆マギカ』への大きな愛で、映画館で同じ時間をこうやって過ごすことができて今日はうれしかったです」「(新編で)さやかと杏子が手をギュッとするのが、ドキッ! とする瞬間なので、見逃さずに見ていただけたら」とコメント。
 
喜多村さんからは「(テレビシリーズで)見たかったさやかのもうひとつの要素をこんなに劇場作品で描いていただけるのを、当時も今もうれしく思っています」「いろいろな表情を見せることができるキャラクターに成長させてもらっている」「そこを大事に声で立体的に演じたいなと意気込んで収録していたことを、今日話していて思いだしました」「色んな要素で希望に満ちた作品に仕上がっているので、あらためてそこも噛み締めつつ、映像美も楽しみつつ、キュゥべえのダイブも見届けていただきつつ(笑)、楽しんでいただければと思います」という言葉がありました。
 
そして悠木さんが、「今になって、『まどか☆マギカ』ってどうして今もこんなに多くの方に応援していただけているのかしら? と思ったときに、すごく哲学的なテーマを、言葉にしないで、でもみんなにわかるように訴えてくれたからだなと思っていて、みんなでその議題について考えたのが、きっと作品についての考察だったり、キャラクターを深堀りすることだったと思うんです」「そのひとつの『こういう場合、あなたならどう思いますか?』という問いかけで、バッドエンドともグッドエンドとも捉えさせないように作ったというか、見る人によって最後に抱くものが違う作りになっているのが『新編』になっていると思います」「もう一度、『まどか☆マギカ』を作っていたみなさんと、(新作の)『まどか☆マギカ』を作れることをとてもうれしく思っています。『ワルプルギスの廻天』へのワクワクを高めて楽しみに待っていていただけたらうれしいなと思います」と、新作への思いも込めたコメントで最後を締め、舞台挨拶は会場全体からの大きな拍手とともに終了しました。

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